存在感が薄い?ユーロの今後 その2

世界がトランプ政権のことばかり見ている間に、つい最近まで危機説が何度も流れがユーロに何が起きているか、その2回目です。

アメリカのトランプ大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領など、極右と言われるような政治家が続々と各国のリーダーになることを懸念する人が多くいますが、その動きはヨーロッパ諸国でも顕著です。

フランスではイスラム教徒の入国禁止やモスクの建設禁止などを掲げるルペンという人が大統領になるのでは、と言われていますし、他のヨーロッパ諸国でも流入する移民に対する排斥運動が活発になっています。イギリスがEU離脱を決めたのも、域内の自由移動によって他のヨーロッパ諸国に入って来た移民がイギリスに入ってくることを嫌ったことが直接の原因でした。

こうした内向きな動きがユーロ圏全体に波及すると、「そもそもEUって必要?」という意見につながります。すでにその意見は各国で噴出しており、自国のことだけで精一杯だという雰囲気になりつつあります。これが意味することは、やはりEUの崩壊、その先にあるユーロの消滅です。

現在これだけ流通しているユーロが消滅すると、どうなるのか?.
EUそのものの転機に差し掛かっている今、ユーロの今後がどうなるのかを展望しています。

ユーロはEUというひとつの経済圏で発行され、流通している通貨です。そのEUがなくなるということは、ユーロそのものも存在意義をなくしてしまいます。

少し前にギリシャでEU離脱問題が起きました。財政危機に対して自国の努力なしには援助しないというEU各国への反発から起きた議論で、「助けてくれないのなら、EUにいても意味がない」という、日本から見ると少々身勝手な論理でした。

その時にEUを離脱すると通貨はどうなるのかという話題が取り沙汰され、ドラクマというかつてギリシャが使っていた通貨の名前が出てきました。筆者もそんな通貨は初めて聞いたので、おそらくFX投資家の皆さんも同じだったと思います。

ユーロの前身、EUに参加予定の国々の通貨価値を仮想的に算出していたXEUという通貨単位にはドラクマの名前はなかったので、この時からユーロというのはドイツのマルクやフランスのフランといった主要経済国の通貨と実質的に同じという現実がありました。

つまり、ギリシャがEUを離脱してドラクマに戻したら、ユーロドラクマという通貨ペアが誕生することになります。今でもユーロポンドやユーロスイスといった欧州内の通貨ペアがあるので、それと同じになるでしょう。

ギリシャには失礼ですが、ユーロドラクマという通貨ペアができても関係があるのはギリシャ国民くらいで、ユーロ経済にもあまり影響はないでしょう。

問題は、ドイツやフランスなどの主要国がEUを離脱した場合です。